チョウザメの説明をしていると「チョウザメはサメじゃないの?」と毎度言われます。確かに名前には
「サメ」と入っていますが、全く別の生き物なのです。チョウザメの名前の由来は、鱗が蝶のような形で
ヒレなどがサメのような姿をしていることからチョウザメと呼ばれるようになったようです。
村の人もチョウザメのことを「サメ」と言ったり、
「サメちゃん」と言ったりするくらいですから、そのくらいの認知度なんだと思います。
ただ、やはりチョウザメを飼う身としてはしっかり違いを理解していただきたい訳で…
そんな訳でチョウザメとサメの違いを語っていこうと思います。
分かりやすいところでは以下の5つの違いがあります。
目次
骨格の違い
チョウザメは硬骨魚類の分類に属しています。魚の95%くらいはこの硬骨魚類であり、
例えばアジやタイ、サンマなどと同じで、まあ簡単に言えば…普通の魚です。笑
一方のサメは軟骨魚類に属しています。軟骨魚類の中には、他にエイやギンザメなどが属しています。
硬骨魚類と軟骨魚類で何が違うのか…読んで字の如く、骨格が硬い骨「硬骨」でできているか、
軟らかい骨「軟骨」でできているかの違いです。チョウザメは硬骨魚類に属していながら、
軟骨部分が非常に多いので間違われることもありますがね。
歯の有無
サメの特徴といえば、やはりあの鋭い歯を想像される方が多いのではないでしょうか。
映画「JAWS」では次々に人を襲っていく獰猛さが描かれ、サメの持つ歯がとても恐ろしい物として
印象付けられています。(子供の頃は怖くてとても見ることができない映画でした…。)
一方のチョウザメ君はといえば…歯が1本もありません!!!
「サメ」と名前に入っているにも関わらず、あまりにも不甲斐ない!獰猛さの欠片も持ち合わせていない!笑
歯がまるでないため、お食事の時には丸呑みです。
下にお食事の時の動画を載せておきます。餌があると気付くと、口を伸ばし…パクっと一呑み!
腎臓の有無
サメの肉がたまに売っていることがあります。処理が適切にされていないサメの肉はアンモニア臭いと
よく言われます。なぜでしょうか。
それもそのはず!サメは腎臓がなく(正確には未発達だそう)、本来おしっこで排出される尿素を
血液にため込み、浸透圧調整を行っているからです。サメが死んでしまった後に、この体内の尿素を
微生物が分解しアンモニアとなり匂いの元となるのです。
チョウザメは腎臓を持っていておしっこをしているので、体内に尿素を溜め込むようなことがないので、
身が臭くなることもありません。
※浸透圧について
濃度の違う水が隣あって存在するとき、濃度を均一に保とうとして水が移動すること。
つまり、濃度が高い方から低い方へ水が移動します。これは生物においても発生し、
たとえばなめくじに塩をかけると溶ける。ということは有名ですね。正確に言えば、
溶けているのではなく、体中の水分が流れでてしまうため、脱水状態になり死んでしまうのです。
魚(海水魚)の場合は、体内の塩分濃度よりも海水の塩分濃度の方が高いため、そのままでは
体中の水分が奪われ、死んでしまいます。そのため、浸透圧を合わせるために海水を飲みます。
しかし、そのままでは塩分濃度が高すぎるため、不要な塩分はおしっこや鰓で排出していきます。(硬骨魚類の場合)
サメのような軟骨魚類は、尿素を体内に溜め込んで浸透圧の調整をしています。
浮袋の有無
魚たちは水中を自由に泳ぎ回るために浮力が必要です。多くの魚はこの浮力調整を浮袋で行っています。
チョウザメも浮袋を持ち、浮力調整をする魚です。
一方のサメなどの軟骨魚類は浮袋を持っておらず、肝臓に特殊な油を持っており、これを浮力調整に
使用しています。
えらフタの有無
チョウザメとサメのえらを見ると明らかな違いがあります。それは、えらにフタがあるか、
むき出しになっているかです。
えらにフタがある。
えらにフタは無く、穴があるのみ。
まとめ
このようにチョウザメとサメはまるで違う姿をしており、別の種類の生き物だとお分かりいただけたかと
思います。何でチョウザメとサメが違う生き物だと理解して欲しいのかというとですね…
サメって何か怖いイメージがあると思うのですが、そのイメージでチョウザメに触れてほしくないのです。
いや、サメのことを否定したい訳ではないんですがね。チョウザメって非常に温厚でのんびりやで、
とても愛らしい魚だと思うのです。その一方で、サメのようなかっこいい泳ぎ姿も持っている…
そんなチョウザメの魅力を伝えたいのです!そのことを分かってもらうために、まずは怖いサメのイメージを
なくしたいのです。